耳かきは危険?耳かきと耳垢の間違った知識が大病を引き起こす!!

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耳かきの危険性

『1日1回、お風呂から上がったあとに綿棒などを使って、耳を綺麗に掃除する』こういった行為を日課にしている人は、決して少なくないと思います。また『暇があれば耳かきを使って、とにかく耳垢を取る』といったことが、ある意味クセになっている方も大勢いるでしょう。

特に日本人というのは、諸外国と比べると、ある意味《潔癖症》の一面があるので、耳垢をきれいに取り除くことも当たり前のように感じています。

耳を掃除して気持ちよくなるのは結構なことなのですが、実はこれ、重大な疾病を引き起こすこともある、とんでもない行為だということをご存知でしょうか? 『耳垢は不潔』という決めつけから行っている耳かきが、最悪の場合手術をしなければならない、という事態も有り得るんです。

そこでこの記事では『耳かきが危ない理由』『耳垢が持っている意外な防衛機能』など、簡単な耳の構造の話を交えながら紹介していくので、ぜひ最後まで読んで頂きたいと思います。

 

『気持ち良く健康にも良い耳かき』が実は大間違い?

皆さんも覚えがあると思いますが、耳かきをすると、背筋がゾクッとするような、なんとも言えない爽快感のようなものがクセになはずです。

耳かきで、耳の中をこすればこするほどに耳垢が取れて、何とも言えない達成感が芽生えてしまいます。なので、暇な時間にテレビを観ながら、ついつい手持ち無沙汰の解消目的にポリポリとやってしまう人が多いはずです。

ですが、耳鼻科医に言わせると「耳かきをすることは避けてほしい」という答えが返ってきます。

『なぜ耳かきはダメなのか?』の理由が気になる方も多いでしょう。

そこでここでは『耳かきの危険性』や『耳垢がどういった働きを担っているのか』について、少し話していきたいと思います。

耳垢によって守られている私たちの耳

耳垢というのは、外耳道の入口にある耳垢腺からの分泌物や、代謝によって剥がれ落ちた表皮、さらに耳毛が掴んだ外部からのホコリなどが混ざり合って生成されています。

耳垢ができる耳垢腺

実はこの耳垢には、抗炎症作用があるグロブリンAという免疫物質が含まれています。

このグロブリンAには、耳の中で細菌が繁殖するのを抑えてくれる効果を持っているんです。なので、耳かきなどで耳垢を完全に取り除いてしまうと、細菌に感染するリスクが高くなってしまうことになります。

綿棒や耳かきを耳に入れるということは、身体にとってみれば《異物》が入り込んでくることになるんです。しかも、その異物で耳を守ってくれている耳垢を取り除くというのは、自分で自分の身体を痛めつけていることと同じだと言えます。

何気に習慣となっている《耳掃除》ですが、よくよく考えると細菌が入り込むきっかけを与えている行為だということになりますね。

耳かきによって取り返しがつかない事態に陥ることも

「たかが耳かきで大げさだよ」と思っている人も多数いるかと思います。ですが、この油断が本当に恐ろしいことなんです。

冒頭でも述べていますが、日本人はとにかく耳かきが習慣になっている方が少なくありません。もっとダイレクトに言ってしまえば《耳かきをやりすぎている》ということです。

耳かきによって擦った部分に傷がつき、細菌を侵入させてしまい、そこからカビが生えてしまうケースも多々あります。このカビが水虫のように繁殖してしまうと、根治することが非常に難しくなります。さらに、これが悪化してしまうと、耳介軟骨膜炎という感染症を引き起こしてしまいます。

耳介軟骨膜炎北奥耳鼻咽喉科『見て理解する耳鼻咽喉科疾患』より画像を引用

耳介軟骨膜炎とは、軟骨が炎症を起こしてしまう病気で、激痛とともに耳が腫れ上がってしまいます。この病気を発症してしまうと、最悪の場合には耳が変形してしまい元に戻らなくなってしまう恐ろしい病気なんです。

耳かきをやりすぎると、最悪の場合にはこういう結果になってしまうことを、心に留めておくことが必要だと言えるでしょう。

 

『耳かき先進国』の日本は特に危ない

日本という国は、耳かきの文化が発展しており、耳かきがビジネスとして成り立っている《耳かき先進国》だと言えます。

たとえば、取れた汚れが一目でわかる『黒い綿棒』が人気を集めています。さらに繁華街では、女性が膝枕をして耳かきをしてくれる『耳かきエステ』まであり、たかが《耳かき》がビジネスとして成功しているという、世界的に見れば摩訶不思議な国だと言えます。

この耳かき文化に警笛を鳴らしているのが《アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)》なんです。

耳も皮膚の一部という認識が重要

前述したAAO-HNSFの聴力委員会の見解では、日本では特にそうなのですが、世界的に見ても耳かきに関する誤った知識を持っている人は少なくないようです。

「なんとなく耳がムズムズするから」といった理由から、耳かきがやめられない人が多く、医療先進国であるアメリカでさえ、毎年1200万人もの人が『耳垢が溜まりすぎている』という思い込みで病院に駆け込んでいます。

『耳がムズムズする』→『耳垢が溜まっている』→『耳かきをして耳垢を取る』これは正に負のスパイラルに陥っている典型的な状態です。

ヒスタミンメラクリニック『皮膚科2』より画像を引用

耳垢が溜まる部分も皮膚の一部です。皮膚というのは、こすればこするほどに、ヒスタミンという物質が放出されてしまい、炎症を引き起こします。この上さらに、綿棒などを使って皮膚の水分、つまり耳の中の水分を奪ってしまうと、さらに炎症を起こしてしまいムズムズ感が増してしまう結果となります。

ほとんどの方が誤っている綿棒の使い方

2017年1月にAAO-HNSFが公表したガイドラインでは『綿棒は耳の中に入れるものではない。耳の掃除をやりすぎてはいけない』と、非常に強いトーンでアピールしています。

つまり耳の掃除をやりすぎると、外耳道を傷つけてしまうことは元より、鼓膜に穴が開いてしまったり、外耳から内耳へ音の振動を伝える耳小骨が損傷してしまう、といった可能性が高くなります。これによって、聴力の低下や耳鳴り、さらには目眩(めまい)などの症状を引き起こしてしまうこともあるのです。

では、耳の中に入れてはいけないという綿棒、正しく使うにはどうすればいいのでしょうか?

使用方法や使用方法の制限はメーカーが掲載している

北米で最もポピュラーな綿棒である《Q-tips》では、公式サイトに『綿棒は外耳道には入れずに、耳たぶの周りを掃除するために使ってください』と注意書きされています。つまり、注意書きを掲載している以上、耳の中を掃除して耳に異常が発症してもユーザーの責任となるわけです。

綿棒での正しい耳掃除

Q-tipsと同様に、使用方法にある程度の制限をかける文言は、綿棒を提供している会社であれば、パッケージなどに掲載していると言えます。

つまり、メーカー側は綿棒を耳の中に入れることは良くないことだと認識しており、使用しているユーザー側に間違った知識が定着していることになります。使用説明にはしっかりと目を通しておく必要がありますね。

多くの日本人の耳はもっと危険な状態にある

日本では耳の掃除に、最もポピュラーである《竹製の硬い耳かき》を使う人が多数を占めています。

この、硬い竹製の耳かきというのは、綿棒とは比較にならないほどに危険性があると言えます。綿棒と比べて、はるかに硬い竹製の耳かきは、外耳道を傷つけるリスクが非常に高いので、本来であれば使うべき物ではないんです。

どうしても使わないと気がすまない人の場合であれば、耳の浅い部分を、力を入れず軽くこする程度にして使用しましょう。頻度も月1回ほどに抑えておくべきだと言えますね。

 

耳掃除が引き起こす症状は感染症だけではない

耳かきによって外耳道が傷つき、その傷から細菌に感染されてしまう危険性はお話しましたが、それ以外にも重大な症状を引き起こしてしまうことがあります。

それは、耳かきが原因によって耳が遠くなってしまう症状です。

『耳かきが原因で耳が遠くなる』という、いまいちピンとこないケースですが、これが意外にも非常に多いのです。

耳かきで鼓膜を破ってしまうようなケースも中にはありますが、この場合は耳が遠くなるというよりは《聴力を失ってしまう》ことになります。では『耳かきで耳が遠くなる』とは、いったいどういったケースなのでしょうか?

耳掃除のつもりが耳垢を押し込んでいる

耳垢というのは、耳の穴の手前の方で発生して溜まります。

耳垢の発生場所

これを、耳かきや綿棒を使用して掻き出しているつもりが、逆に奥へと押し込んでしまっているケースが多いのです。

これを繰り返しているうちに、どんどん耳垢が鼓膜付近にまで押し込まれて溜まってしまいます。最終的には、外耳道全体が耳垢で塞がれてしまい、耳垢栓塞という症状を引き起こしてしまうのです。これが『耳かきが原因で耳が遠くなる』という一連の流れです。

耳垢栓塞の原因

特に、お風呂上がりは耳垢がふやけている状態なので、綿棒を使って耳掃除をすると奥へと押し込まれてしまい、耳垢が外耳道を塞ぐリスクが高まってしまうので注意して頂きたいと思います。

 

耳には元から備わっている自浄作用がある

耳垢ができる外耳道の入口の方では、耳垢を外に押し出す自浄作用が備わっています。

みなさんが日頃当たり前のように行っている『食事を摂る』『会話をする』といった行為によって顎を動かしているうちに、皮膚に張り付いている耳垢が剥がれ、体外へと押し出されていくんです。

このような現象をマイグレーションといいます。

耳で起きる人体の神秘《マイグレーション》とは

外耳道の皮膚の表面は、普通の皮膚とは異なり、鼓膜を起点にして骨部→軟骨部→外耳へと、外側に向かって表皮が移動していきます。移動した表皮は、骨部と軟骨部の境目にある頬部(きょうぶ)と呼ばれている部分で徐々に剥がれはじめます。

外耳道の自浄作用

この一連の現象とともに、ホコリや細菌なども一緒に体外へ排出されるようになっているんです。

しかし、耳かきというのは、この自浄作用を損ねてしまう一因にもなっているんです。

耳かきでガサガサ音が無くなると危険信号

耳かきをする際にきこえるガサガサ音を『耳垢が詰まっている』と思っている方は非常に多いでしょう。

このガサガサ音、実は、耳垢が溜まる頬部で、剥がれかけてささくれ立っている表皮と耳かきが当たることで起きている音なんです。このガサガサ音を無くそうと、一生懸命に耳かきをするということは、かさぶたを無理やりに剥がしている行為と同じということです。

つまり、ガサガサ音を無くすということは《自ら進んで自傷行為をしている》ことになり、非常に危険なことだと言えます。

耳垢には虫の侵入を防ぐ効果もある

虫というのは、耳の穴を巣穴と勘違いして侵入してくる習性があります。羽アリやカナブンといった虫が多いのですが、最も怖いのが家庭に住み着いているチャバネゴキブリです。

「まさかゴキブリが!?」と思う方も多いでしょうが、ゴキブリというのは、人間が寝ている間に耳に入ってきて鼓膜を引っ掻く、といった行動を起こします。しかも、幼虫のような小さなものだけではなく、大きな成虫も耳穴に侵入してきます。

耳の穴に虫が侵入

こうなると、耳鼻咽喉科で処置してもらう必要があり、下手をすると鼓膜を引っ掻いて破られることもあります。

こういった事態を防いでくれるのが耳垢なんです。

耳に生えている産毛に耳垢が付着していることで、巣穴だと勘違いすることがないので虫の侵入を防ぐことができます。つまり、耳垢を綺麗に取ってしまうと、耳は完全な無防備状態となってしまうんです。

 

自浄作用が弱くなっている高齢者は特に注意

自浄作用は、新しい皮膚が生まれ古い皮膚が体外へ排出される新陳代謝と同じです。
(当ブログ内『唇荒れを解消!見惚れる《うる艶リップ》5つのコツを一挙公開!』で、新陳代謝(ターンオーバー)について詳しく述べているので、参考に併せて読んで頂きたいと思います)

当然のことながら、高齢者になれば新陳代謝が鈍ってしまうので、自浄作用の周期も遅くなります。身体を動かす機会も減ってしまい、耳垢が奥へと入り込んでしまうと、体外へ排出することが若年層と比べると難しくなります。

特に男性の高齢者は、加齢で耳の毛が太くなってしまい、ますます耳垢が溜まりやすくなるので、耳かきは自重することが望ましいと言えるでしょう。

綿棒を入れる場合は1cm程度までに

高齢者はできる限り耳かきをしないほうが良いのですが、それでもやはり耳垢による不快感を拭えない場合もあります。

このような場合は、軟膏やベビーオイルを使うことがお勧めです。

綿棒での正しい耳掃除

細めの綿棒を軟膏やベビーオイルで湿らせて、外耳道の手前から1cm~1.5cmくらいの範囲を拭うように耳掃除をして下さい。あくまでも優しく拭うのことが大切で、決して耳の奥をゴリゴリと擦ってカスを出すようなやり方はしないで下さい。

また、竹製などの硬い耳かきは使わないようにしましょう。

頻度としては、1ヶ月に1回でも多いくらいに思っておいて下さい。そのくらいの頻度で十分に耳は清潔に保つことができます。

 

つい耳かきをしてしまうのは何故?

耳垢というのは、私たちの身体に有益な効果をもたらしてくれるのですが、それでも耳かきをして取り除きたくなるのは何故なのでしょうか?

耳の中には、末梢神経の一つである迷走神経というものが走っています。

実は、この迷走神経、綿棒などで刺激すると身体が快感を覚えてしまうのです。つまり、耳かきというのは、この迷走神経を刺激している行為なので、その気持ちよさからクセになってしまうんです。

快感は、老若男女を問わず、追い求めてしまうのが人間というものなので、仕方がないことだと言えるでしょう。

 

まとめ(耳かきと耳垢の間違った知識)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事では、私たちが持っている間違った耳かきの知識や、耳垢の効果などについてお話しましたが、いかがだったでしょうか?

人間の耳というのは、ある程度の耳垢がある状態が自然であり、むやみに掻き出すことは、返って身体の防衛機能を損ねてしまう結果になってしまいます。

太古の昔から代々伝わってきた知識や文化を守ることは、非常に大切なことであり、また重要なことでもあります。

しかし、耳かきに関して言えば、考えを改める必要があるのではないでしょうか。

 


 



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