抜け毛・薄毛の原因として『毛穴の皮脂が抜け毛や薄毛を促進する』と思っている方が多いはずです。もちろんこれは正しいのですが、皮脂を絶対悪と決めつけ、まるで親の敵のように「皮脂を一掃してやる」といった具合の皮脂対策をしている方は少なくないと思います。
『毎日のシャンプーで皮脂を綺麗に取り除き、毛穴も綺麗サッパリ』と、まさに皮脂を一網打尽といったところでしょうか。
ですがこの頭皮ケア、もし間違っているとしたら……あなたはどう思われますか?
正直なところ、かなりショックを受ける方が多いでしょう。もしくは「デタラメ言ってんじゃねぇよ!」と怒りを覚える方もいるかと思います。
ですが、ショックを受けた方はご安心を、そして怒りを覚えた方は少し時間を下さい。
この記事を読み終わった頃には「なるほど!そういうことだったのか!」と納得して頂けるはずです。
なので、ぜひ最後まで読んで、正当な『頭皮の皮脂対策』を知って頂きたいと思います。
ページコンテンツ
頭皮の皮脂対策は『皮脂を活かしてケア』という気持ちで!
皮脂による頭皮のベタつきが気になっている人は、圧倒的に男性が多いのですが、これは男性ホルモンの影響により、多量の皮脂が分泌されることが要因です。
ですが、使用しているシャンプーや日々の食生活なども大きく関わっていることも事実です。
つまり皮脂というのは、ただ単に洗い流せばいいという問題ではありません。使用するシャンプーはもちろん、規則正しい日常生活を送ることも、頭皮の皮脂対策には必須だということです。
さらに、皮脂を取りすぎてしまうと『ドライ頭皮』という状態になり、身体に備わっている防衛機能が働いてしまい、頭皮からそれまで以上の皮脂を分泌させてしまいます。皮脂で悩んでいる多くの方に共通しているのは『ドライ頭皮』が原因だと言っても過言ではありません。
ここまでの段階で導き出される答えは『皮脂というのは、多すぎても少なすぎても問題あり』ということになります。
頭皮の健康を願うなら、まずは皮脂をコントロールすることからです。
頭皮の皮脂対策は『皮脂を活かしてケアする』が原則!
そこで、頭皮の皮脂で悩んでいる方に『頭皮の正しい皮脂対策方法』を解説していきますので、日々の頭皮ケアに役立てて頂ければと思います。
皮脂は抜け毛や薄毛の原因ではなかった!?
巷で言われている一般的な知識、さらに大手メーカーの育毛剤CMなどでも『薄毛・抜け毛の原因は皮脂量にある』という情報が流されています。さらには、医師でもこれを信じて疑わない人が多いようです。
ですがこの説、実は19世紀に発表された仮説であり、要するに今流行りの都市伝説の一種ということなのです。この都市伝説が21世紀になった今日でも信じられているんです。
男性型脱毛症というのは、男性ホルモンが増えることに一因があるというのは確かです。
そして、男性ホルモンの増加によって、頭皮の皮脂も分泌量を増すことになります。
だからと言って『皮脂成分=抜け毛の要因』ということにはなりません。
実を言えば、20世紀も半ばに入った頃、この説は完全に否定されているという事実があります。
それにも関わらず、21世紀になった現在でも『薄毛・抜け毛の原因は皮脂にある』といったことが、まるで当たり前のように駆け巡っています。
実際には、頭皮の皮脂が多い脂性の方でも、髪がフサフサな方は多数存在いるので、イメージに振り回されないよう注意することが重要でしょう。
ですが、皮脂が多い脂性の場合『脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)』という、頭皮に湿疹ができる皮膚病になってしまうこともあるので注意して下さい。
脂漏性皮膚炎の悪化によって髪が抜けてしまうこともありますが、これは一時的なもので、炎症が治れば髪はまた生えてくるので心配はありません。
脂漏性皮膚炎になってしまう原因とは
脂漏性皮膚炎というのは、脂分を含んだフケが大量に現れるという特徴があります。
これは、男性ホルモンやビタミンの代謝異常などが原因で新陳代謝が活発になり、皮膚や角質を作るスピードが増大して大量のフケを出してしまいます。
皮脂を洗い流さずに放置しておくと、過酸化脂質というものに変化して毛穴を塞いでしまいます。
毛穴を塞ぐことによって、毛穴周辺や毛根に炎症を引き起こしてしまうのですが、この症状を脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)といいます。
洗髪を怠ったり、使用しているシャンプーやリンスが合わなかったり、肉類を中心とした食生活を送っていたりすると、皮脂の分泌が過剰になり脂漏性皮膚炎を引き起こしてしまう原因になります。
脂漏性皮膚炎を予防・改善するためには
脂漏性皮膚炎の予防や改善には、洗髪方法や食生活の見直しが基本となります。
以下に具体例を挙げておきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
- 毎日のシャンプーで余分な皮脂を除去(注:皮脂を取りすぎない・頭皮を傷つけない)
- マッサージで頭皮の血行を良くする(育毛剤を使用することでさらに血行が促進する)
- ノンシリコンシャンプーを使用する(アミノ酸系・殺菌剤含有のシャンプー)
- アルコールやコーヒー、糖分や脂肪分の多いものは控える
- 偏食しないよう、バランスの取れた食生活を送る
- ビタミンB2やビタミンB6を積極的に摂取する(皮脂の代謝を促す働きがある)
- ストレスは溜めずに必ず解消するようにする
上記の例を意識して、出来ることからで良いので実行するように心がけましょう。
ただ、症状が重い場合や、なかなか改善しない場合には、自分で判断せずに医師の診察を受けるようにして下さい。
毎日ケアしてるのにフケ・皮脂が止まらない場合は
頭皮の皮脂を気にすれば気にするほど、皮脂を強力に取り除くシャンプーを使用したり、1日に2回以上の洗髪を行ったりする方がいます。
とにかく皮脂を徹底的に取り除いてやる、という気持ちだけは理解できます。
確かに、頭皮を不潔にするとフケや炎症を引き起こす原因になりますが、やりすぎは返って逆効果になってしまいます。
冒頭でも述べたように、どれだけ一生懸命に頭皮ケアをしても、頭皮がベタついたりフケが出てしまう方というのは、皮脂の取りすぎで『ドライ頭皮』になっている可能性が高いと言えます。
つまり、不潔にしていることが原因ではなく、シャンプーのやり方が間違っている、ということが一番に考えられます。
間違ったシャンプーのやり方の中でも、特に問題なのが『シャンプーのしすぎによるドライ頭皮』だと言えるでしょう。
シャンプーというのは頭皮の皮脂を洗い流すのですが、違う発想をするのならば『頭皮の皮脂を奪ってしまう』ということになります。
新たな皮脂が十分に出てくる前に、どんどんシャンプーで奪ってしまうと、頭皮は乾燥してしまいます。
結果としてドライ頭皮を招くことになってしまい、フケが多く出ることになります。
『フケ=悪』という考えを捨ててしまおう
そもそもフケというのは一体なんなのか?
皮膚の細胞というのは、基底層という皮膚の土台になる部分から生まれます。
基底層の細胞が分裂すると、それに押し出されるように角質層の方へ上がっていきます。
そして最後に、角質層で細胞核を失ったものが皮膚から剥離(はくり)します。この剥離したものは、私たちが一般的に『垢(あか)』と呼んでいるもので、これが頭皮で発生した場合には『フケ』という呼称になっているだけなのです。
基底層で細胞が生まれて剥離するまでは約40日前後あります。この1サイクルを『ターンオーバー』といいます。
つまりフケというのは、細胞核を失って皮膚から剥離したものであり、言い方を変えてしまえば『新陳代謝が繰り返されている』ことの証明でもあります。
ただしターンオーバーが正常な場合では、フケというのは肉眼では見えにくい大きさで発生するので、フケを肉眼で見るようなことはほとんどありません。
このターンオーバーに異常が発生すると、目に見えるような大きさのフケが出ることになります。
フケが出たと分かるくらいの大きさだった場合には、頭皮に異常がある場合が多いのです。その原因としては、シャンプーのやり方や生活習慣といった、日常の何気ない行為に起因することが非常に多いということです。
一番多いパターンで見られるのは、先ほども述べたのですが『シャンプーのしすぎ』というのが挙げられます。
特に、高級アルコール系のように脱脂力がとても強いシャンプーを毎日使った場合、皮脂を根こそぎ取ってしまう勢いで洗い流してしまいます。
結果として、頭皮を守るために必要な皮脂まで流れてしまい、本来、皮脂が持っている保護力が失われるということです。
ドライ頭皮はフケや痒みを招いてしまう原因
フケが出てしまうと、その焦りから洗髪の回数を増やしたり、使用するシャンプーの量を増やしてしまい、返ってフケの量を増やす結果となります。
約12時間~24時間
この数字の意味することをご存じでしょうか?
これは、皮脂を失った頭皮が元の状態に戻るまでの時間を表しています。おおよそ半日から丸1日かかるということですね。
仮に、1日2回、朝と夜にシャンプーをしている方の場合、頭皮が皮脂を出して保護する前に、シャンプーによって洗い流されてしまう、ということになります。
このことから、シャンプーの使用は1日1回で十分だという意味がお分かり頂けたと思います。
『1日1回のシャンプーでもフケが出る』という方は、まず2日に1回といった形で、シャンプーの回数を減らすことから始めるのが良いでしょう。もしくは、アミノ酸系の低刺激シャンプーに切り替えてみるのも一つの手段だと言えます。
もしドライ頭皮になってしまった場合は
ドライ頭皮になると、頭皮に多くのパラパラと乾燥したフケが発生し、毛穴が詰まったり頭皮が荒れるといった症状が出ます。
ドライ頭皮の状態を緩和するためには、椿油などを頭皮につけることも一つの方法です。オイルを頭皮につけると言っても、ほんの1~2滴程度の量なのでベタつくような心配はありません。
ドライ頭皮を予防したい方は、以下に挙げる対策法を心がけるようにして下さい。
- シャンプーの使用は2日に1回にする(間の日はぬるま湯で洗う)
- シャンプー後のすすぎは入念に行う
- 低刺激のシャンプー(アミノ酸系)を使用する
- ドライヤーによる急激な乾燥は避ける
- ビタミンAやビタミンB郡を積極的に摂取して頭皮の環境を整える
これらを心がけた上で、さらに週1回程度、以下で解説する『特別な頭皮ケア』を行うことで、ドライ頭皮は改善されるはずです。
週1回行う特別な頭皮のケア方法
特別な頭皮ケアとは、どういった方法かと言うと『シャンプー前の頭皮オイルクレンジング』と『もみ出し洗い』の2種類になります。
①シャンプー前の頭皮オイルクレンジング
日本古来から伝わる『脂汚れは油で落とす』という発想を活かした頭皮ケア方法です。
椿油やホホバオイルはサラサラしていて毛穴に入り込みやすい性質があります。
毛穴の奥の皮脂や汚れを浮かせてくれるので、髪や頭皮の保湿だけでなく、頭皮の皮脂を落とすのにも効果的です。
頭皮オイルクレンジングは、お風呂に入る前がベストでしょう。
オイルが垂れ落ちる可能性もあるので、使用する際は上半身の服を脱いでからにして下さい。もしくは、お風呂場でかけ湯をする前でも問題ありません。
頭皮オイルクレンジングの手順
- まずブラッシングして髪のもつれを解消する
10円玉大のオイルを指の先に取り、前頭部・頭頂部につける。
指の腹でマッサージするように約1~2分ほど頭皮になじませる。 - ぬるま湯で流してからシャンプーをする
一旦取れた皮脂が、また毛穴に入り込んでしまうのを防ぐために、あまり長い時間オイルをつけたままにしないようにする。
マッサージの際は、頭皮を強くこすらないように注意。
②もみ出し洗い
頭皮の毛穴に詰まった余分な皮脂や汚れ、角質などを除去するためのシャンプー方法。
皮膚と同じように、角質が垢として毛穴にたまる状態のことを『毛穴が詰まる』といいます。
剥がれた角質は皮脂と混ざり合い、毛髪の周りにくっつき、筒状になります。この筒状になった角質に、さらに皮脂・ホコリ・汗などが混ざって、温度変化・酸化・乾燥など外部環境の変化が加わることで、次第に固い塊(かたまり)に変わります。
この塊りのことを『角栓様物質(かくしつようぶっしつ)』といいます。
角栓様物質が毛穴を塞いでしまうと、皮脂が分泌されても外に排出されなくなって、炎症など頭皮トラブルを招いたり、育毛剤などの成分も浸透しにくくなります。
もみ出し洗いは、この角質様物質を除去するための洗い方です。やり方は誰にでも出来る簡単なことなので、以下の4つの手順で進めて下さい。
- ぬるま湯より少し温かめのお湯を頭部全体にかけて、毛穴を開いて汚れを柔らかくする
- シャンプーを頭皮だけにつけ、両手で頭全体をもむように洗う
- 指の腹を使って、頭皮をマッサージするイメージで行う
- シャンプーが残らないように丁寧にすすぐ
もみ出し洗いの頻度は週に1回程度で十分な効果があります。
このように頭皮をマッサージすると、はさまれた毛穴から、角栓様物質などの頭皮の汚れが出てきます。
ただし力を入れすぎてはいけません。シャンプーの泡で洗うような気持ちで、優しくマッサージすることが大切です。
すすぎは温かめのお湯で、いつもより時間をかけて丁寧に行いましょう。
頭皮をこすったり力を入れ過ぎると、頭皮が傷ついて抜け毛の原因になってしまいます。頭皮をおさえて動かすことを意識するようにして下さい。
まとめ(頭皮の皮脂対策方法)
いかがでしたか?
冒頭で怒りを覚えたりイラっとした方、あるいはショックを受けた方、少しは収まったでしょうか?
ここまで読んで頂いた方はお分かりかと思いますが、頭皮の皮脂による毛穴の詰まりと、抜け毛・薄毛の直接的な関係はないのです。
なので、頭皮の皮脂を気にしすぎて過剰に取りすぎてしまうことはやめて下さい。返って頭皮のトラブルを引き起こしてしまいます。
頭皮トラブルを起こしてしまうと、ひどい場合には皮膚科の厄介になることもあるので、正しい方法でケアすることが大切だと言えます。
ですが、あまり過度に気にしすぎることも問題なので、最低でも普通にシャンプーするように心がけましょう。
関連する記事はこちら
SPONSORED LINK