130超えたら血圧高め――。
テレビコマーシャルで流れているので、聞いたことがある方は多いかと思いますが『130を超えたら気をつけましょう』という、お茶のキャッチフレーズとなっているセリフです。
確かにこれは間違いではありません。
間違ってはいないのですが、130という数字を基準として考えることは、本当の意味での正常な血圧の数値としては不十分ということです。
そして、数値だけではなく、私たちが持っている《血圧の常識》というのは非常に古いものが多く、安易に降圧剤に頼るなどの逆行した治療に依存している人が年々増え続けており、減少する傾向すら見えない状態となっています。
そこでこの記事では、目まぐるしく変化している血圧の最新常識を伝えると共に、高血圧の医者が行っている《5つの血圧のコントロール法》を含めた、2018年の最新版血圧情報について詳しく話しています。
ぜひ最後まで読んで、日々の健康管理に役立てて頂ければ幸いです。
日本人の死亡原因は高血圧によるものが多い
日本人の死亡原因第二位である心疾患、そして第三位となっている脳血管疾患――。
日本人の主な死亡原因
『全国健康保険協会 長野支部』より画像を引用
心疾患というのは、心筋梗塞や狭心症などで、血管が狭くなったり詰まったりすることで、血液や酸素が心臓に回らなくなる病気です。一方の脳血管疾患は、脳出血や脳梗塞、クモ膜下出血といった病気のことをいいます。
この2大疾患と悪性新生物(ガン)は、日本人の死亡原因の約3分の2を占めています。そして、心疾患や脳血管疾患の原因というのは、言うまでもなく高血圧が主なものなんです。
自分の血圧を正しく把握するための計測方法
心疾患・脳血管疾患は、ともに命に関わる危険な病であり、発作が起きれば良くても後遺症が残る可能性も少なくありません。
これらの病気を予防するためには、血圧の範囲を正常に収めることが何よりも重要となります。そのためには、正しい『血圧の基準値』を把握しておく必要があります。
そこで『自分の血圧を正確に知る測り方』について以下にまとめているので、ぜひ参考にして頂きたいと思います。
血圧の正しい測り方①:測る回数と時間
血圧は、朝と夜の2度、毎日計測することが重要です。
そして適当な時間に測るのではなく、毎日同じ時間に、それぞれ2回から3回ずつ計測することが、正しい数値を把握するためのコツです。
血圧を測るタイミング
血圧を測るには、そのタイミングも重要な要素となります。
朝は、起きてから1時間後くらいで、洗面や排泄を終えてからが望ましいと言えます。降圧剤を服用している方は、必ず薬を飲む前に測るようにして下さい。
夜は、夕食を食べる前に測るようにしましょう。
これは、食事をすると血液が腸へ集まり血圧が下がってしまうためです。夜に降圧剤を服用している人は、朝と同じように、薬を飲む前に測定するようにして下さい。
複数回測る理由とは
朝と夜、それぞれ2回から3回も測る理由は、1回だけの計測では数値に偏りが出る可能性が高くなるためです。
3回計測して、その数値の平均を記録するようにすれば、正確な自分の血圧を把握することができます。面倒に思うかもしれませんが、10分もあれば終わるので、ぜひ習慣化して頂きたいと思います。
血圧の正しい測り方②:測定時の姿勢
正しい血圧を把握するためには、測るときの姿勢も重要な要素となります。
- 椅子に座ってリラックスして、足は組まずに両足の裏をしっかりと地面に着けます
- テーブル等に血圧計を心臓と同じ高さになるように置きます
- 測るときは、腕の力を抜いて、手のひらは上に向けて下さい
上記の手順をしっかりと守って、1日2度、そして1度につき3回測定し、その平均を取ることを習慣にしましょう。
血圧の正しい測り方③:測る腕は左右どちらかに決める
血圧の数値は、右腕で測るか左腕で測るかによって差が出ることがあります。
なので、今日は右腕、次の日には左腕で測るといった、左右バラバラに測定することは避けて下さい。あくまでも原則として、測る腕は左右どちらかに決めておくことが、正確な血圧を把握するコツです。
場所・年齢によって変わる血圧の基準値
正確な血圧を把握する測定方法については、お分かり頂けたかと思います。
そこでここからは、測定した血圧の数値をどう考えるか、その基準値について話していくので、これまでの間違った知識は一度クリアするようにして下さい。
高血圧と言える数値とは
まずは、血圧を測定する場所について話していきたいと思います。
具体的に言うと、測定する場所が診察室(病院)なのか、ご家庭で血圧計を使って測定するのかで、基準値は違ってくるんです。病院で測った数値が《140/90》、ご家庭で測った数値が《135/85》を超えている場合には、高血圧であると考えられます。
ただ、この基準値は場所だけに限定したもので、さらに年齢という条件もプラスしなければなりません。
リスクが高い40歳代から50歳代
血圧というのは、年齢を重ねるごとに高くなっていく傾向があります。
つまり、年齢によって基準となる血圧の数値は変わっていくんです。その中でも明確にリスクが高いのが、バリバリと働いている40歳代から50歳代の方です。
この範囲の年齢の方の基準値としては、診察室で測定した血圧が《140/90》、ご家庭で測った数値が《135/85》が目安となります。この数値を超えている場合は、その後の人生でずっと血管に負担をかけ続けることとなるので、生活習慣病を発症するリスクは高まります。
40歳代から50歳代の方は、できる限り《120/80》という数値を目指して、運動や生活習慣を見直して頂きたいと思います。
60歳から70歳代前半の人の場合
理想としては、60歳を超えても血圧は低いに越したことはありません。
しかし60歳代になっても《120/80》という数値を目指すことは、はっきり言って現実的とは言えません。この年齢の方であれば《140/90》前後を保つように心がけることが大切です。
日頃の運動や、バランスの取れた食事で《140/90》を維持するようにすれば、降圧剤を服用する必要はないと言えます。
ただし、この数値を大きく超えてしまうと、生活習慣病を引き起こすリスクが高まりますので、降圧剤の服用は避けられないこととなります。
後期高齢者(75歳以上)の人の場合
75歳以上の後期高齢者になると、血圧の基準値は《150/90》まで上がります。
この数値であれば、降圧剤を服用せずとも、食事療法や運動療法などによって健康状態を維持することができます。もし最高血圧が170から180を超えた場合には、薬を飲んで基準値を維持する必要があると言えます。
ただし、糖尿病を発症していたり、過去に脳卒中や心筋梗塞を発症している病歴がある人の場合、《150/90》という基準値は当てはまらないので注意して下さい。
血圧の基準値は他の健康指標との兼ね合いもある
血圧は、年齢や測る場所によって基準値が変わりますが、他の数値とも関連性があります。
悪玉コレステロール(LDL)と血圧の関係
悪玉コレステロール値(LDLコレステロール値)や血糖値が高い場合には、基準値はより厳しいラインで考える必要があります。とくに糖尿病がある方は、最高血圧を130程度まで下げなければなりません。
たとえば、男性で悪玉コレステロール値が140mg/dLを超えている人は、動脈硬化のリスクが非常に高くなるので、血圧は当然のこと、コレステロール値も下げる必要があります。
上と下との差《脈圧》も重要な数値
血圧というと、ほとんどの方が最高血圧と最低血圧の数字ばかりを気にしがちです。
しかし、最高血圧と最低血圧の差(脈圧)には、とくに注意する必要があります。この脈圧の数値が大きく開いていると、体に危険が及んでいることのサインとなります。
脈圧のシステムの図解
『湧永製薬株式会社』より画像を引用
この脈圧というのは、差が少ないほうが健康だと考えられています。
脈圧も血圧と同様、年齢を重ねるにつれて大きくなってくるのですが、あまりに差が大きすぎる場合、動脈硬化が進んでいる可能性が高くなります。
正常な脈圧は、最高血圧と最低血圧の差が《40~60》程度なので、これ以上の差が開いているようであれば、まずかかりつけの医師に相談することをお勧めします。
通常では分からない仮面高血圧とは
同じ高血圧でも、普段の血圧測定では見逃されてしまう仮面高血圧というものがあります。
そこでここでは、医師の間で注目が集まっている《夜間高血圧》や、その他の仮面高血圧について、簡単に解説していきたいと思います。
仮面高血圧①:夜間高血圧
通常、夜間というのは副交感神経が優位になっているので、血圧は低くなります。
しかし、夜間高血圧というのは、夜間になっても血圧が下がらない状態を言います。夜中に血圧を測るというのは、普通はしないものなので、夜間高血圧は気づかないことが多く、心疾患のリスクが非常に高くなります。
これを調べるには、24時間血圧計を使用して測定する必要があります。
病院に行けば24時間血圧計があり、さらに保険も適用されるので、自分が夜間高血圧なのかどうかを調べたい場合は、病院で医師に相談するようにして下さい。
仮面高血圧②:血圧サージ
血圧サージというのは、主に早朝などに血圧が急上昇します。
当然のことなのですが、血圧サージも血管に大きな負担をかけることになるので、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めることになります。
血圧サージが起きているのかどうかを知るには、前述している《脈圧》が指標となります。もし脈圧が60を超えている場合は、血圧サージの可能性が高くなるので、医師の診断を仰ぐことをお勧めします。
仮面高血圧③:職場血圧
読んで字のごとく、職場で血圧が高くなる症状です。
現役でストレスの高い仕事をしている人は、職場でも血圧を測定することが望ましいと言えます。職場血圧が異様に高い場合、当然のことなのですが脳卒中や心筋梗塞のリスクは高くなります。
たとえ仕事中だけの短い時間であっても、血圧が高ければ血管への負担は大きくなるので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
仮面高血圧④:血圧の左右差
血圧を測定する場合、右腕か左腕かを統一するよう前述していますが、1ヶ月に1度ほどは両方の腕で測定するようにしましょう。
それぞれの腕で測った数値に10以上の開きがある場合、動脈硬化が進んでいる可能性が高くなります。もし、数値の開きが大きい場合は、できる限り早く医師に相談するよう心がけて頂きたいと思います。
間違った知識が多い降圧剤の常識
降圧剤は『一度飲み始めると一生飲み続けるもの』と思い込んでいる人は、非常に多数を占めています。
しかしこれは間違った古い知識であって、むしろ最近では、服用を続けることは様々なリスクを高めるケースが多く、問題視されるようになっています。
たとえば、高齢者の方であれば、降圧剤の服用によって認知機能が低下したり、認知症が悪化することが少なくありません。また、降圧剤で血圧を無理に下げることによって、転倒するリスクが高まり、骨折などによって寝たきとなる原因にもなります。
これは、たとえば横になった状態で最高血圧が110ほどであっても、立ち上がった瞬間に70~80ほどまで下がってしまうためです。
つまり、薬で強引に血圧を下げてしまうことで、立ち上がったときの急激な血圧の降下が原因となって、ふらついて転倒するリスクが高まるのです。
降圧剤はやめられる・減らせる
誰でもそうですが、好き好んで薬に頼っているわけではなく、出来ることならやめたいと思っているはずです。
とくに、高齢になればなるほど常用している薬の量は増えてきます。
際限なく薬の量が増えていくため、やめられる薬があるのなら『やめたい・減らしたい』という思いは余計に強くなります。事実、薬をやめることによって、体調が良くなるケースは決して少なくありません。
そこでここからは、どういった手順で《薬断ち》をすればいいのかについて話していきたいと思います。
夏場は降圧剤をやめるチャンス
春先から夏場にかけては、降圧剤をやめたり減らしたりするチャンスだと言えます。
夏の暑い季節というのは、血管が拡張して血圧が下がりやすくなります。このタイミングで降圧剤をやめて、食事や運動などの生活習慣を見直せば、降圧剤をやめたり減らしたり出来る可能性が高くなります。
とくに、症状の軽い人は、医師と相談した上での話になりますが、夏場は降圧剤を断つ絶好のタイミングとなります。
減薬・断薬は自分から医師へ相談する
残念なことに現在の医療業界では、積極的に服薬をやめさせようとする医師は多くありません。
もし降圧剤を飲んでいて、血圧が下がっているのであれば、自分から医師に《減薬や断薬》の相談を持ちかけるようにして下さい。たとえば複数の降圧剤を飲んでいる方の場合、医師に相談して、一種類の薬を最小限の量に抑えるという手もあります。
いずれにしても、薬をやめるために必要最低限のことは、血圧を下げるため、積極的に生活習慣を改善することが必須条件となります。
逆に言えば『バランスの取れた食事・適度な運動・良質な睡眠』といった生活習慣を規則正しいものにすれば、リスクの高い降圧剤をやめることも十分に可能だと言えるのです。
医者が行っている5つの血圧コントロール法
人を診る医者も人間なので、当然のことながら血圧の高い人もいます。
そういった高血圧を経験している医師や、高血圧の怖さを誰よりも知っている医師というのは、一般の患者よりも血圧をコントロールする方法をよく知っています。
そこでここからは『血圧をコントロールするためには日々どういった工夫をすればいいのか』といった部分に焦点を当てて話していこうと思います。
医者が行う血圧コントロール法①:食事の工夫
血圧を降下させるために効果的な食べ物の一つにナッツ類があります。
たとえば《クルミ・ピーナッツ・マカダミアナッツ・アーモンド・ピスタチオ》などが挙げられます。これらナッツ類を、小腹が空いたときに意識的に食べるようにすれば、血圧の降下に大きく役立ちます。
とくにピスタチオは、高血圧の原因となっているナトリウムを体外に排出させるカリウムを多く含んでいるので、おやつとして食べるといった工夫をすれば効果的です。
食べる順番を工夫する
食事をする際、先に野菜をたくさん食べて、お腹いっぱいにするよう心がけることも効果的です。
野菜である程度お腹を満たすことで、総摂取カロリーを減らすことにも繋がります。
時間的にゆとりがあれば、食事の前に生のキャベツを、少なくとも1日換算で8分の1個ほど食べるようにすることも、血圧を降下させる一つの手段となります。
医者が行う血圧コントロール法②:飲酒の工夫
アルコールというのは、基本的に血圧を上げてしまうものです。
ですが、1日に20ml~30ml程度(ビールで言えば中瓶1本、日本酒で言えば1合)であれば、そこまで血圧に影響を与えません。アルコール度数が低めのビールであれば、水と交互に飲んだり、チビチビ飲むことで、少ない量でも満足感を得ることができます。
種類によって血圧は上がりにくい
同じアルコールでも、お酒の種類によっては血圧が上がりにくいものもあります。
たとえば赤ワインは、その代表的なお酒です。
赤ワインに含まれているポリフェノールは血圧を下げる効果があり、相対的に血圧が上がりにくいと言われています。赤ワインをチビチビと飲むことで、血圧の上昇を抑えると共に、血圧を降下させる効果にも期待が持てるということです。
医者が行う血圧コントロール法③:良質な睡眠
人間は、睡眠時に血圧が下がり、その間に血管への負担を小さくしています。
総体的に睡眠時間が短い人というのは、血管へ負担をかける時間が長いということになるので、当然のことながら心血管疾患へのリスクが高まるということです。
とくに。現在増加している睡眠時無呼吸症候群の人は、必要な酸素を十分に取り込むことが出来ないため、血圧が上がってしまい、血管や心臓に大きな負担をかけることとなります。
横向きに寝ることで血管への負担が減る
大きないびきをかいて寝る人は、酸素の供給量が十分ではない可能性が高くなります。
このような状況を防ぐために、医師は《横向きに寝る》ことを実践しています。横向きに寝ることで、舌が喉の奥のほうへ落ち込みにくくなり、気道が広く確保されやすくなります。
誰にでもできる簡単なことなので、いびきがひどい人はぜひ実践してみることをお勧めします。
医者が行う血圧コントロール法④:ストレッチ
血圧をコントロールするためには、日々の運動は欠かせない要素です。
しかし、本格的なトレーニングや運動となると、始めることも億劫となり、継続も難しいところがあります。そこで、日々の生活の中で簡単に実践できるストレッチが非常に効果的となります。
ふくらはぎを伸ばす
ふくらはぎというのは第二の心臓とも呼ばれており、血流を良くするための非常に重要な部位となります。
『江崎グリコ株式会社』WEBサイトより画像を引用
この第二の心臓であるふくらはぎを伸ばすことで、末端から心臓に血液を戻すポンプとしての動きを強く滑らかにすることが出来ます。
毎日の生活の中で、気づいたときにふくらはぎを伸ばすことを癖にしておくと、血圧降下に良い効果を発揮してくれるんです。
ふくらはぎを伸ばすストレッチの具体的な手順
- 右足を後ろに引き、左膝を軽く曲げる
- 両手を左膝に置いて、右足のふくらはぎをしっかり伸ばす
- 約20秒、この体勢を維持する
- 左右の足を替えて、1~3の手順を繰り返す
このストレッチを、時間が出来るたびに行うよう習慣にすれば、血圧の降下に大きく役立つので、ぜひ実践するよう心がけて頂きたいと思います。
医者が行う血圧コントロール法⑤:階段の昇り降り
階段を昇り降りすることは、ふくらはぎの筋肉を鍛えると共に、心肺機能を向上させる効果があります。
具体的には、日頃から、2~3階分ほどの階段を昇り降りすることを心がけることが大切です。階段の昇り降りであれば、通勤の際にエスカレーターを使わず、階段を使うようにすれば、それだけで運動不足を補う効果があります。
ただし、階段を昇る前に軽く早歩きをしておくなど、ウォーミングアップを忘れないようにして頂きたいと思います。
たとえ階段を昇る程度の運動であっても、いきなり動くと血管に負担をかけてしまいます。心疾患や脳血管疾患を防ぐ意味でも、必ずウォーミングアップを行うようにして下さい。
まとめ(血圧を正常に保つコントロール法)
高齢者だけではなく、若年者でも血圧を適切な数値に保つことは、日々を健康に過ごすために必須の条件だと言えます。
年齢が若ければ若いほど、血圧に対する危機意識は薄く、軽視する人が多いことも現実ですが、若いからこそ日々の生活習慣を規則正しくしておくことで、その後の人生を健康に生きていくための土台作りになるんです。
当記事で紹介した血圧低下のための生活習慣改善法を活かして、今日からでも、血圧を正常な数値に保つコントロールを始めて頂きたいと思います。
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