便秘というのは、肥満をはじめとする様々な病気や老化を引き起こしてしまう原因の一つでもあります。特に女性は、この便秘で悩んでいる方が数多くいます。
旅行に行ったときなど、急な環境の変化で便秘になる人もいるかと思いますが、いつも便秘がちといった慢性的な人も決して少なくないはずです。
これは、慢性的に腸の活動が低下していることが原因なので、基本的な代謝能力(基礎代謝)が下がっている証拠だと言えます。便秘というのは、老化のスピードが加速しているサインだと言うことです。
なので「たかが便秘」などと侮ってしまうことは禁物です。
便秘というのは放っておくと、体内は当然のことですが、身体の表面上までも汚してしまう厄介な症状なのです。
そんな便秘を解消するためには、まず第一に食生活を見直す必要があります。
「そんなこと分かってるのよ。でも情報が多すぎるし、何を食べればいいの……?」と迷ってしまう方が多いのではないでしょうか?
そんなあなたに、身近なところにある便秘改善に効果がある食べ物を、その特徴を織り交ぜながら紹介していきたいと思います。
便秘に効果がある食材を日常的に取り入れることで、便秘体質からの脱却は誰にでも出来ることなのです。
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便秘体質を改善するために必要な成分と栄養素
食事をして摂り入れた物が小腸や大腸で留(とど)まってしまうと、排泄するために必要な水分が吸収され、便が固くなり出にくくなってしまいます。
このような状態を便秘といいます。
便秘によって大腸内に溜まった便は毒素を発生させてしまいます。この毒素が血液中を流れて体内の臓器などの働きを悪くするのです。さらに、長い期間とどまった便というのは腐敗していき有害物質に分解されます。この有害物質が、血液によって全身に流れてしまうのです。
便秘は、腸内にうんちが長期間溜まった状態ですから、私達の腸内細菌に悪い影響を与えます。うんちがエサとなって、クロストリジウムなどの悪玉菌が増殖します。そして発ガン物質、発ガン促進物質、アンモニア、硫化水素などの有害物質や、おならの元となるガスを発生させます。だから便秘の時のうんちは、臭いのです。そして便秘が続くと、それらの有害物質はどんどん腸壁から吸収されて血液中をめぐります。肌荒れや様々な病気にもつながると考えられています。
女性には「3日以上排便がなければ便秘と考える」人が多いのですが、これは勘違いです。良好な腸内環境であれば、排便は1日1回。食べたものの消化・排便までの時間は24時間が目安ですから。一般的なうんちの水分量は80%ですが、大腸に長時間とどまっているうんちからは、水分がどんどん吸収されていくので70%以下になり、硬くなってしまいます。硬くなると余計に腸内で動きにくくなり、どんどん溜まる・・・と悪循環に陥ってしまいます。
便秘は肥満を引き起こす原因の一つ
便秘によって腸内で発生した有害物質が原因となって、口臭・吐き気・頭痛・目眩などの症状を引き起こす場合もあります。
また、便秘によってお腹に張りを感じる方もいますが、これは有害物質から発生するガスが原因となって起きるのです。
摂取した食材から必要な栄養素を吸収してくれる臓器は小腸なのですが、その小腸に便が長くとどまってしまうと、必要以上のカロリーまで吸収することになってしまいます。その結果として、肥満という嫌な症状を引き起こしてしまうのです。
ですが、便秘が良くない理由というのは決して肥満だけではありません。
正常な状態であれば『出て行くべきものはちゃんと出て行く』のですが、便秘というのは、出て行くものが体内にとどまっている状態なので、新陳代謝や自律神経が正常に機能しなくなってしまい、結果的にホルモンのバランスまで崩れてしまいます。
こういった要因が重なってしまうと、皮膚の血行が悪くなってしまい、肌荒れやニキビ・吹き出物などの原因となるのです。
便秘を改善させるために必要なこととは、食事やサプリメントによって、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促すための栄養素を多く摂取しなければいけません。
必要な栄養素の代表的なものとして、『食物繊維・天然オリゴ糖・プロバイオティクス・ビタミンB1』の4つが挙げられます。
便秘に効果がある栄養素・成分
- 食物繊維
- 天然オリゴ糖
- プロバイオティクス
- ビタミンB1
以下に、それぞれの特徴と効果を述べてみたいと思います。
①食物繊維
便秘の解消に効果がある成分として、誰もが最初に思い浮かべるものと言えば食物繊維ですね。
食物繊維には、水に溶ける水溶性のものと、水に溶けない不溶性のものがあります。
- 水溶性の食物繊維
水を含むとゲル状になります。便の水分を増やして柔らかくしてくれます。 - 不溶性の食物繊維
水分を吸って大きく膨らみます。便の嵩(かさ)を増やすことで腸の蠕動運動を促してくれます。
普段から便秘で苦しんでいる人が、便秘を解消しようと食物繊維を大量に摂取すると、お腹が張ってしまう方が少なくないと思います。
これは、不溶性の食物繊維が多く摂取した場合に見られる症状です。不溶性の食物繊維を多く摂取すると便の嵩が増してしまい、ガスが溜まってしまうために張りが出て苦しくなります。
不溶性の食物繊維で腸の蠕動運動を促しても、水分が吸収されて固くなったいる便は容易には出てくれません。
普段から便秘がちの人は、まず水溶性の食物繊維を中心に摂取することから始めると、便の水分を増やしてくれるので、スムーズに出やすくなります。
ここで覚えておいてほしい大切なポイントは、食材には『水溶性』『不溶性』両方の食物繊維が含まれているということです。水溶性だけを含む食材、不溶性だけを含む食材というのはありません。
そして、水溶性と不溶性のバランスというのは、食材によって大きく違ってきます。
- ごぼう(100g)⇒水溶性2.3g 不溶性3.4g
- さつまいも(100g)⇒水溶性1.0g 不溶性2.8g
このような感じで、食材によって含有量に開きがあるのです。
ほとんどの食材は、不溶性の食物繊維のほうが多く含まれています。
食物繊維を摂取しようと思えば、誰でも簡単に摂取することができます。ですが、水溶性の食物繊維となると、種類を選ばなければ十分な量を摂取できないことになるので注意しましょう。
食物繊維の理想の割合としては『不溶性2:水溶性1』と言われています。
しかし、この比率で摂取しようと思った場合、含有量を計算して食材を選ばなければならないので、非常に面倒な作業となってしまいます。
結果として、面倒な計算で返ってストレスを溜めてしまい、便秘をひどくしてしまうことになる可能性があるので、あまり細かく考えないようにしましょう。
なので、食物繊維でも摂取しづらい『水溶性食物繊維』を多く含む食材を意識して摂るように心がけることで、自然にバランスが整うはずです。
②天然オリゴ糖
腸内で乳酸菌やビフィズス菌を増やす働きをしてくれるのが天然オリゴ糖です。
しかもオリゴ糖は、カロリーが砂糖の半分以下なので、普段使っている砂糖の代わりにオリゴ糖を使えば余計なカロリーを摂取することもなく、使用するメリットは大きいと言えます。
(天然オリゴ糖は、スーパーやドラッグストアで購入できます)
③プロバイオティクス
プロバイオティクスというのは微生物の一種で、身体を健康に保ってくれる作用をもたらします。
具体的には、腸内環境を整えたり、腸の活動を活発にするよう働いてくれます。
プロバイオティクスを含んだ食材の代表と言えば、『納豆・お味噌・ぬか漬け』などが挙げられます。普段からこういった食材を摂取したうえで、さらに乳酸菌のサプリメントを使用すると、腸内環境はかなり整ってくるはずです。
ですが残念なことに、腸内環境というのは排便するごとに元に戻ってしまうのです。
なので、乳酸菌の補給は毎日する必要があることを忘れないようにして下さい。
④ビタミンB1
意外に忘れられがちなのですが、ビタミンB1も便秘改善に強い力を発揮してくれます。
ビタミンB1が不足してしまうと、腸の蠕動運動を調節する自律神経の働きが衰えてしまいます。
具体的な食材で言えば『ほうれん草・豚肉・ごま』といったものに多く含まれています。効率的にビタミンB1を体内に吸収するためには、ニンニクやネギなどと一緒に摂取すると効果的です。
ただ、ビタミンB1は熱が弱点となるので、調理に時間をかけすぎてしまうと失われてしまいます。ビタミンB1を効率的に摂取するには、その辺りを注意する必要もあります。
いかがでしょうか?
上記に挙げた『栄養・成分』をしっかりと摂取し便秘を改善すれば、自然と基礎代謝力はアップします。
基礎代謝力がアップすることで便通も正常になり、結果として便秘が原因となっていた肥満や肌荒れも改善されることになります。
『いつまでも若々しい人というのは腸が綺麗』と言われているのは、この相乗効果があるからですね。
それでは次に、上記で挙げた4つの栄養・成分のうち、最も便秘改善に重要な『食物繊維・プロバイオティクス』を多く含んでいる食べ物を紹介していきたいと思います。
体内をクリーニングする食物繊維
身体に溜まった不要なものを排出することは、免疫力のアップにも繋がります。
体内クリーニングに必須の海藻類
地面で採れる野菜に食物繊維が多いのは誰もが知るところでしょうが、海藻に含まれる栄養素というのは計り知れないパワーが秘められていると言われています。
海藻は『体内のクリーニング屋さん』とも言われていて、便秘の改善は当然のことなのですが、生活習慣病も予防してくれるという素晴らしい食材なのです。
海藻というのは、海のミネラルを豊富に含んでいることもあって、ビタミン(B1・B2・B6・B12・C・K・パントテン酸・葉酸)、βカロテン(強い抗酸化作用)といった成分を含んでいます。
人間は体内でビタミンやミネラルを作ることができないので、どうしても食べ物から摂取する必要があります。ワカメや海苔、もずくや昆布など、海藻を積極的に摂るように意識して下さい。
1食で1~2品を摂取することが理想的だと言えるでしょう。
食物繊維は排泄をスムーズにする
食物繊維をきちんと摂取していると、自然でスムーズな排泄ができます。
前述したのですが、食物繊維が不足することで便秘の原因となり、体内に余分なエネルギーが溜まってしまうのです。
なので、便秘完全に必須のことというのは、食物繊維を積極的に摂取することだと言えます。
便秘が肥満の直接的な原因とはならないのですが、長い目で見た場合には、間違いなく肥満の一因になっていると言えます。
食物繊維というのは、食物に含まれている繊維質のことでありカロリーはありません。
食物繊維自体には栄養はないのですが、
- 便を柔らかくする
- 腸内細菌のバランスを整える
- 腸内の有害物質の排出を促す
といった働きがあり、まさに『体内クリーニング』のプロと言えるでしょう。
食物繊維が含まれている主な食材13品
それでは、以下に『食物繊維を豊富に含んでいる食材の代表的なもの13品』を挙げておきますので、日々の食生活の参考にして頂きたいと思います。
アボガド
理想的なバランスで食物繊維を含んでいるほか、不飽和脂肪酸(油分)も多く含むので便の潤滑油としての働きもあります。
モロヘイヤ
栄養価が高い食材として知られてます。
ぬるぬるとした粘りにたっぷりと水溶性食物繊維が含まれています。
納豆
不溶性2:水溶性1という、理想的な食物繊維のバランスです。
1パックで1日の必要量の1/7を摂取できます。
インゲン豆
豆類の中ではダントツの食物繊維含有量です。
不溶性食物繊維も豊富ですが、水溶性も多く含んでいます。
ごぼう
不溶性・水溶性ともに多く含まれる食材です。
善玉菌のエサとなるオリゴ糖の含有量も豊富です。
オクラ
ネバネバしているのが水溶性食物繊維のペクチンです。
生で食べるより茹でて調理した方がペクチンの吸収が良くなります。
ニンジン
サツマイモよりも多い食物繊維を含有しています。
野菜ジュースの材料としても使いやすく、幅広い調理の応用が効きます。
里芋
独特のぬめりがあるのが特徴。
イモ類の中でも水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。
なめこ
不溶性・水溶性ともに多く含まれています。
ぬめりに水溶性食物繊維が多いので洗わず使う方が効果的です。
切干大根
大根は水分が非常に多い食材です。
乾燥させると食物繊維含有率がアップするので少量でも効果があります。
海藻
ワカメ・昆布・もずく・海苔などの海藻類には、ヘミセルロースという水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。
プルーン
水溶性と不溶性を同じくらいの比率で豊富に含んでいます。
乾燥プルーンなら、1年中手軽に食べられる、とても美味しい食材です。
蕎麦
日本人の主食の中では食物繊維の含有量はトップクラスです。
乾麺でも生タイプでも、水溶性食物繊維の含有量は、ほとんど変わりません。
腸内の掃除には必須の微生物『プロバイオティクス』
私たちの腸内には、善玉菌や悪玉菌といった様々な細菌が住み着いています。
数にして約100兆もの最近が腸内にいるということです。考えただけでも身震いしそうな数ですね。
ですが、この細菌のおかげで私たちは生かされていると言っても過言ではありません。
特にその中でも、プロバイオティクスという乳酸菌などが、悪い細菌を抑えてくれてるので、一定のバランスが保たれて、私たちは健康で生きられるんです。
腸内バランスを保つのに最適なプロバイオティクス
食生活や加齢、ストレスに影響を受けやすい腸内環境は、プロバイオティクスなどを利用して整えることが大切です。
乳酸菌・ビフィズス菌といった善玉菌は、悪玉菌と常に戦をしているようなものです。
善玉菌が優勢になれば、腸内環境のバランスは保たれ、『免疫力の向上・便通改善・消化吸収の改善』という効果をもたらしてくれます。
それでは以下に、プロバイオティクスを豊富に含んだ食材の代表的なもの9品を挙げていきます。
ヨーグルト
プレーンヨーグルトに、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖をプラスして食べるのがお勧めです。
上澄み液(=ホエー)も、非常に身体に有益なので捨てずに食べると、より一層効果があります。
牛乳
善玉菌のエサとなる乳糖を含んでいるため、善玉菌の活動が活発になり、その結果腸内環境が整えられます。
ただし、お腹を下しやすい人の場合は避けた方が良いでしょう。
チーズ
プロセスチーズよりもナチュラルチーズの方が乳酸菌の働きが高く効果的です。
発酵バター
乳酸菌でクリームを発酵させてから作るバター。
一般的なバターと同じように使えるので腸のためにも発酵バターを選ぶようにしましょう。
納豆
食物繊維も含む最強の食材です。
納豆に豊富に含まれる納豆菌は腸内の善玉菌になるだけでなく、ほかの善玉菌を増やす働きがあり、腸内環境を整えます。
味噌
大豆と塩麹を混ぜて発酵させた保存食。
メラノイジンという食物繊維に似た働きをする成分が腸内の善玉菌を増やして、腸内環境を整えてくれます。
漬物
古くから摂り入れてきたぬか漬など、漬物に含まれる植物性乳酸菌は日本人の腸に合うといわれています。
積極的に食べることをお勧めします。
キムチ
日本の漬物と違い、アミノ酸を使うので動物性乳酸菌が働き、植物性乳酸菌では作れない様々な栄養素を作り出します。
日本で作られたキムチの方が日本人の口には合います。
マッコリ
ほのかな酸味がある乳酸菌が豊富なお酒です。
食物繊維を豊富に含んでいるので、お酒を飲むときはマッコリを選ぶのもお勧めです。
これらの食材を積極的に摂り入れることで、体内がクリーニングされて、便秘は飛躍的に改善されるはずです。
結果として、腸内環境が改善されて、ニキビや吹き出物などの肌荒れ・体臭や口臭・肥満などの悩みも解消されることでしょう。
まとめ(便秘体質の改善)
便秘を改善するための食材というのは、決して特別なものではないことがお分かり頂けたかと思います。
便秘と聞けば『食物繊維の摂取』と考えていた方も多いでしょうが、プロバイオティクスやオリゴ糖も便秘には非常に効果があり、これらを含んだ食材も簡単に手に入ります。
日々のメニューの幅を広げることで、楽しみながら便秘を改善させることが、何よりも大切だと言えます。
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