第四の治療法である《がん免疫細胞療法》のモラルなき実態に迫る!

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がん免疫療法のモラルなき実態

『末期がんが消滅した』『第四のがん治療法』――。
進行がんを患ってしまい、命の危機に瀕しているがん患者にとって、このような謳い文句で発信されている《がん免疫細胞療法》というのは、まさに生きる望みをかけた《最後の希望》として映ることでしょう。

しかし現段階では、がん免疫療法は医学的な有効性が立証されていない治療法です。

そういった治療法だと分かっていながら『ほとんど副作用がなくガンが消えた』という言葉を聞いてしまうと、末期がんで苦しむ患者の気持ちとしては、免疫療法にすがってしまうことは当然のことだと言えるでしょう。

しかし、免疫療法は保険適用外なので、治療費のすべては実費となります。

そんな高額な治療費を払う患者たちに『がん免疫療法は医学的に有効性が立証されていない』という事実が、正確に伝わっていないこともあるようです。

そこでこの記事では、人の希望を後悔に変えてしまう恐れがある《がん免疫療法》の実態について、さらに、高額な免疫療法に誘導する巧妙な手口などについても話していこうと思います。

 

第四のがん治療法となる免疫細胞療法

がんの治療法として、これまで『手術・放射線・抗がん剤』の三大療法によって治療が進められてきました。

しかし、手術による切除にも限度があり、放射線や抗がん剤の治療には強い副作用が付き纏います。がんを発症した患者は、長期間にわたる治療によって、肉体的にも精神的にも、さらには経済的にも追い込まれてしまうことになるんです。

そこで救世主のように現れたのが、第四のがん治療と言われる免疫細胞療法です。

免疫細胞療法

これまでの外的な力を利用して治療するのではなく、人間が本来持っている自己治癒力を高めることで、がんを根治させるという理論です。命の期限を宣告された人にとっては、まさに救いの神とも言える治療法だと言えます。

しかし、この夢のような治療法、掘り起こしてみると様々な落とし穴があるようです。

免疫細胞療法が保険適用にならない理由とは

まさに夢の治療法ともいえる免疫細胞療法ですが、そもそも、どういった手順で行われているのかを知らない方もいるかと思います。

そこでまずは、治療の基本的な流れから話してみましょう。

◆ がん免疫細胞療法の基本的な流れ

免疫細胞療法の基本的手順

  1. 患者の血液を採取する
  2. 採取した血液からリンパ球の細胞を培養する
  3. 細胞を《増やす・活性化》させたり、がん細胞の目印を覚えさせる
  4. 培養した細胞を、一定間隔で患者の体内に戻して、がん細胞を殺す

もし、こういった治療でガンが治るのであれば、末期がん患者にとってこれほど嬉しいことはないでしょう。痛みも恐怖も副作用もない、まさに《第四のがん治療法》と呼ぶに相応しいと言えます。

ではなぜ、この素晴らしい治療法が保険適用とならないのでしょうか?

有効性が証明されなければ厚労省は認可しない

この治療法が保険適用となれば、もはやガンという病気は、風邪などと同じような感覚で治療できます。

しかし、いまだに免疫細胞療法が保険適用外のままなのは何故なのでしょうか――?

国民健康保険制度が施行された1961年当時では、まだ免疫細胞療法がなかったため、審査対象になっていなかった

この回答は、免疫細胞療法を提供している某クリニックが、説明を求めてきた患者に対して使っている回答です。それぞれのクリニックによって、言葉のニュアンスに違いはあれど、だいたい同じような回答になっているようです。

しかし、この回答は明らかにおかしいと言えます。

国民健康保険が出来た当初のみが対象となるのであれば、その後にできた薬や治療法なども全て健康保険が使えないという理屈になります。

臨床試験で有効性が立証された、新しい治療法や新薬というのは、厚生労働省が認可することによって随時保険適用となっていきます。つまり、保険適用にならない理由というのは、もっと根本的な問題にあるんです。

それはズバリ《がん治療の有効性が立証されていない》ということです。

なぜ免疫細胞療法がこれほど普及しているのか?

がん治療の有効性が立証されていない免疫細胞療法――このような治療法が、なぜこれほどまでに普及しているのでしょうか?

その答えは『程度の差はあれど、人間というのは基本的に弱い生き物』だからです。

医者から「もう治らない」と宣告されるということは、要するに《死の宣告》を受けたことになります。

死への恐怖

もちろん、死というものは誰にでも例外なく訪れるものです。

しかし、健康だった頃には全く意識することのなかった《死》というものが、いざ自分に突きつけられてしまうと、ほぼ100%の方が不安や恐怖を抱いてしまいます。死を恐れることは本能であり、『死にたくない』と思うのは当然のことだと言えます。

妙な宗教などは、こういった時期を狙うことが多く、不安な心につけ込み勧誘してきます。

そんな弱った感情の中で冷静さを失ってしまう方が多くなり、たとえ高額で立証もされていない治療法であろうと、一縷(いちる)の望みとしてすがってしまうのです。

根拠のない免疫細胞療法が普及することも、致し方ないことだと言えるでしょう。

 

免疫細胞療法は現時点では実験的医療

免疫細胞療法の一部は、現段階で『先進医療』として指定されています。

つまり、例外的に混合診療を認めて、臨床試験を実施しながら保険適用を目指している制度ということです。これは裏を返すと、現段階ではガンに対する有効性が立証されていない実験的医療ということになります。

では実際のところ、培養した免疫細胞というのは、一体どの程度の期間に渡って機能しているのでしょうか?

現段階でのがん治療効果はほぼゼロ!?

免疫細胞療法の売りは、自分の細胞を培養してがん細胞を殺すという、自己治癒力を高めることにあります。

しかしその、肝心要でもある培養した免疫細胞の生体内寿命ですが、実はたったの2~3日、長くても1周間ほどしかありません。さらに、がん細胞に出会って刺激を受けてしまうと、24時間以内に死滅してしまいます。

培養免疫細胞の寿命

さらにもう一つ、培養した免疫細胞を静脈へと投与した場合、肝臓に集積してしまうので、肝心のがん組織まで届かないのです。

つまり、現段階での免疫細胞療法は、有効性と安全性が検証されておらず、さらに再現性も確立されていない治療法ということになります。このような治療法が《商売》として行われていることが大問題だと言えるでしょう。

こういった事実は、説明会では絶対に聞かされることのない免疫細胞療法のダークな部分ということになります。

免疫細胞療法に誘い込む手口は様々ある

商売としてやっている現実上、やはりあの手この手でガンに苦しむ患者を誘い込んでいるようです。

もし免疫細胞療法が、がん治療への有効性が立証されているのであれば、高額な治療費を支払ってでも受ける価値は十分にあると言えるでしょう。しかし現実には、立証されていない治療法なので、ある意味で詐欺的な要素を大きく含んでいると言わざるをえないでしょう。

そこで、高額な免疫細胞療法に誘導する巧妙な手口の代表的なものを、以下に挙げてみたいと思います。

誘導の手口①:症例画像を偽造する

免疫細胞療法クリニックのHPには、必ず治療前後を比較した症例画像を掲載しています。

ただ、この症例画像というのは、はっきり言って曲者です。

どういうことかと言うと、CT画像の撮影条件やスライス位置を少しずらすことで、ガンそのものが小さくなったり、消えたように見せているクリニックが少なくないんです。要するに、画像を編集して偽造していることが多々あるということです。

さらに恐ろしいのが、実際には免疫細胞療法と抗がん剤を併用して治療しているにも関わらず、HPには、すべて免疫細胞療法のみの効果だというように記載していることも少なくありません。

こういいった部分を知ると、マルチ商法や新興宗教の勧誘と同類とも言える行為に映ります。

誘導の手口②:免疫療法を受けた患者のテレビ出演

テレビ出演というのは、やはり人を信じさせるためには、最も有効な手段だと言えます。

よく放送されるのが、ローカルの枠やBS枠などですが、この放送、よく見るとスポンサーが免疫細胞療法の関連会社に偏っていることに気づきます。しかも、同じ内容のものを何度も再放送している特徴もあり、通常の精神であれば信用はしないだろうと思えます。

ただ、追い込まれた患者の精神状態であれば、信じてしまうこともやむを得ないと言えるでしょう。

誘導の手口③:ノーベル賞受賞者を宣伝に使う

1970年代に、樹状細胞を発見したラルフ・スタイマン博士というノーベル賞受賞者がいます。

この人を宣伝として利用している、樹状細胞ワクチンの免疫療法クリニックが非常に多く、末期がん患者の多くがこの『ノーベル賞受賞者』という肩書がきっかけとなり、高額な免疫細胞療法を受けています。

しかし、2007年の春、ステージ4の膵臓がんが見つかったスタイマン博士が選択した治療法は『外科手術と抗がん剤』でした。

治療を進める最後の段階になり、自身が発見した樹状細胞でのワクチン治療を受けるのですが、残念なことに肺への転移が見つかってしまい、2011年にこの世を去っています。

ラルフ・スタイマン博士を宣伝に利用しているほとんどの免疫療法クリニックでは、この事実を患者には伝えていないようです。

誘導の手口④:大学病院関連施設による誘導

某有名大学、T大学病院の《がん相談支援センター》で配布されている免疫クリニックのパンフレットがあります。

そこには『2001年にT大学病院関連施設として開院』と記されています。日本では知らない人がいないと言っても過言ではない病院の関連施設となれば、免疫細胞療法を信用しても致し方ないと言えるでしょう。

T大病院に限らず、実はこういったケースは増え続けているようです。

 

1クール200万円もの費用がかかる免疫細胞療法

ここまで、高額な治療法と話してきた免疫細胞療法ですが、具体的にはどれくらいの金額なのか、気になる方も少なくないと思います。

金額は、一定期間ごとに区切られているのが通常で、相場として1クール(3ヶ月)で200万円という治療費が必要となります。これを高いか安いか判断するのは、それぞれ人によって異なってくると思いますが、一般的に見れば決して安い金額ではありません。

高額な免疫細胞療法

たしかに、抗がん剤治療でも1ヶ月で150万円以上かかるのですが、こちらの場合、保険適用となるので患者負担の金額としては1ヶ月で10万円ほどで済みます。

有効性が立証されていない治療法に、200万円も出すとなると、通常はかなりの勇気が必要になるでしょう。

現状では免疫療法の臨床試験費用は患者が負担

国立K沢大学付属病院の敷地内には、民間の先進医学センターが建っています。

この先進医学センターには、東京に拠点を置いている、最大手の免疫療法クリニックが入っていて、K沢大学付属病院の医師がアルバイトで診療に入っています。このセンターで免疫療法を受けた患者データは、K沢大学付属病院の医師たちが自主臨床試験として研究に使っています。

つまり、免疫細胞療法を受けるための高額な費用には、センターが私的に行っている臨床試験の費用も含まれているということです。

効果を証明するための臨床試験というのは、ある意味で《人体実験》に等しい行為です。そのための莫大な費用を患者だけに負担させている免疫療法の現状は非人道的であり、倫理的に見ても非常に問題があると言えるでしょう。

大学付属病院が免疫療法に参入する現状

これまで、免疫細胞療法を実施しているのは、自由診療のクリニックが中心でした。

しかし最近では、この有効性が立証されていない治療法を、K崎医科大学やK里大学などの附属病院が免疫細胞療法を採用しています。これは、診療報酬の切り下げなどで、保険診療での利益が落ちていることが理由となっています。

効果が判明していない治療法を大学病院が採用する――本当に恐ろしい現状だと言えます。

 

まとめ(がん第四の治療法《免疫細胞療法》の実態)

副作用のない画期的な治療法として、大きな期待を寄せている人も多い『がん免疫細胞療法』ですが、ちょっと冷静に見れば、現段階では信用に値しないものだと言えるでしょう。

免疫細胞療法が大きな利益を生む金脈のように広がっている現状は、不安を抱えているガン患者から、お金だけではなく、命までも奪っていると言っても過言ではありません。一部の免疫クリニックでは「がんの標準治療より免疫細胞療法の方が優れている」という勧誘をしています。

しかし現代医学では、有効性が立証されている標準治療が最善の治療法となっています。

とは言え、免疫細胞療法が全て根拠のない嘘デタラメだというわけではありません。あくまでも現段階では有効性が立証されていないということです。本来であれば、免疫細胞療法の有効性を検証するのは厚生労働省がするべきことで、早く研究班を作るべきだと言えます。

どの治療法を選択するのかは、最終的には患者本人かそのご家族が決めることです。しかし、今の段階で免疫細胞療法に手を出すのは、決して得策ではないことだけは覚えておいて頂きたいと思います。

 


 



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