ほとんどの方が経験をお持ちでしょうが、子供の頃に「外から帰ったらうがいをしなさい」と、母親や学校の先生から言われたと思います。たしかに、風邪などの感染症を予防する意味として、うがいは効果的な衛生習慣だと言えるのですが――。
しかし、多くの方が当たり前のようにやっている『ガラガラ、ペッ!』は、実のところ正しくないやり方というのをご存知でしょうか?
口の中というのは。食事や呼吸などで細菌やウィルスなどが侵入してくる入口となります。この細菌やウィルスを放置すると、風邪やインフルエンザといった様々な感染病を引き起こす原因となるんです。
つまり、病気を予防するためには、最初の入口である口中で外敵を退治することが大切だと言えます。
そこでこの記事では、体内に侵入してくる外敵を退治するための《正しいうがいの方法》について話していきます。ぜひ、正しいうがいを習慣にして、日常の体調管理の参考にして頂きたいと思います。
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正しいうがいが歯磨きの効果を最大限に上げる
多くの方が、少なくとも朝と夜の1日に2回、もしくは朝・昼・夜の3回、人によっては1日に4回~5回以上の歯磨きをしていると思います。
しかし、せっかく歯磨きによって口中の汚れや菌を除去しても、歯磨き後のすすぎ、つまり《うがい》が正しく出来ていないと、それを口から出せずに残ってしまいます。残った食べかすなどで悪い菌が繁殖し、虫歯や歯周病、さらには様々な感染症を引き起こす原因となります。
言ってしまえば、中途半端に歯磨きをするくらいであれば、正しいうがいをきっちりと行うほうが、口腔内を綺麗に保つことが出来るんです。
間違ったうがいは表面の汚れが取れるだけ
うがいと言えば、ほとんどの方が、口の中にいっぱいの水を含んで音を立てずにすすぐやり方であったり、多くの方が子供の頃からやっている「ガラガラ、ペッ』といった、喉で音を立てるやり方だと思います。
しかしこのやり方では、虫歯や歯周病の予防となる歯に付着した汚れを取ることが出来ません。
口の中に残ってしまった汚れは、虫歯や口臭などはもちろん、下手をすると危険な感染症の原因となる恐れもあります。
- 大量の水を口に含むうがい
- 喉で音を立てるガラガラうがい
- 歯磨き後に軽くすすぐ
こういったやり方では、表面上の食べかすや菌などが流されるだけで、歯と歯の間や奥歯の辺りに付いている汚れまでは落とすことができず、結果的に体内へ菌やウィルスを侵入させてしまうことになります。
理想は正しい歯磨きとのコラボレーション
口腔内の雑菌・ウィルス・汚れなどを取り除くには、正しい歯磨きと正しいうがいを組み合わせて行うことが理想です。
しかし、おそらく90%以上の方が、この2つを正しく行えていないと言えます。とくに日本人は、歯磨きやうがいに対する重要度を軽く見ている方が多く、歯磨きの回数一つとっても、欧米人と比べると非常に少ない傾向にあります。
本来であれば歯磨きというのは、1本1本丁寧に磨き、トータルで1度に約14分~16分ほどかける必要があります。
(正しい歯磨きのやり方に関しては、当ブログ記事『口臭改善は万病の予防に効果アリ!口臭の原因・対策を全て公開』で解説しています)
しかし、歯磨きに1分~3分以内という時間しかかけられないのであれば、正しいうがいのやり方を覚えておく方が、口腔内を清潔に保つためには何倍も効果的だと言えます。
正しいうがいのポイントは『クチュクチュ』という音
効果的なうがいは、少量の水を《強く、早く》ぶつけることが基本です。
口に含んだ水を『クチュクチュ』と音を鳴らしながら高圧洗浄のようにぶつけることで、歯磨きでは落としにくい歯と歯の間などの汚れを効果的に落とすことが出来るんです。肝心なのは、口内細菌と細菌の餌となる食べかすなどをしっかりと除去することです。
最低でも、毎食後(1日3回)に行えば、かなり口中を清潔に保つことが出来ます。
うがいを正しく行えば一石三鳥の効果がある
うがいを正しく行うことで、口腔内を清潔に保つこと以外にも、さらに嬉しい効果に期待を持つことができます。
◆ 正しいうがいで期待できる3つの効果
- 口腔内を清潔に保てる
- 唾液の分泌が活性化する
- ほうれい線を薄くする
『口腔内を清潔に保てる』については、すでに前述している通りですが、3つ目の『ほうれい線を薄くする』という効果は、とくに女性にとっては非常に嬉しいことだと言えるでしょう。
そこでここからは、これだけの嬉しい効果が期待できる《正しいうがい》のやり方について、詳しく話していきたいと思います。
病気予防としても効果的な『毒出しうがい』のやり方
以下に、口腔内にある細菌や食べかすなど、いわゆる『毒』をしっかり除去できる毒出しうがいの手順を具体的に解説していくので、ご自身やご家族の病気予防として役立てて頂きたいと思います。
①口に30ミリリットルの水を含む
30ミリリットルと言われても、おそらくピンとこない方が多いと思います。
量としては、片側の頬がいっぱいになるくらいが適量だと覚えておけば問題ありません。口に含んだ水が多すぎると、力強く水を弾くことが出来なくなり、反対に少なすぎると、うがいの洗浄効果が落ちてしまいます。
口の中で水を動かしやすい、自分に合った量を覚えておくことが大切です。
②水を上の前歯へ向けて強く速くぶつける
水をぶつける力で鼻の下が膨らむように『クチュクチュ』と音を立てながら、上の前歯へ向かって強く水をぶつけることがコツです。
回数としては、1回口に含んだ30ミリリットルの水で、10回ぶつけることを目安にして下さい。立てる音は、大きければ大きいほど洗浄効果が上がります。力強くぶつけることで、音は大きくなるので、できる限り水を強くぶつけるように心がけましょう。
10回ぶつけ終えたら水を吐き出して下さい。
◆ 手順①と②のイメージ図
③改めて30ミリリットルの水を含み下の前歯にぶつける
手順②で行ったことを、今度は下の前歯に向かって同じように水をぶつけます。
下の歯に水がぶつかるように、舌を丸めて唇の下が膨らむくらいに勢いをつけて水を送ることがコツです。こちらも10回ぶつけることを目安に行って下さい。
手順②と同じように、10回ぶつけたら水を吐き出して下さい。
④右の奥歯と左の奥歯に水をぶつける
30ミリリットルの水を口に含み、今度は右側の奥歯に向かって水をぶつけます。
*左側の頬も同じ手順で行う。奥歯まで水が届くことが大事なので必ず片側ずつ行いましょう
うがいの水流で右頬が膨らむくらいに、強く水を送るように意識することがコツです。奥歯まで水流を届かせるためには、必ず『右側だけ』『左側だけ』といった具合に、片方ずつ行う必要があります。このとき、必ず『クチュクチュ』と音を立てるようにして下さい。
回数は右側と左側、各10回ずつです。ただし、1回含んだ水で左右いっぺんに20回というやり方ではダメです。必ず、右を10回して水を吐き出し、新たに水を含んで左も10回するようにしましょう。
毒だしうがいで口臭をしっかり予防
前述の《正しいうがい》をしっかり行うと、思いのほか口や舌が疲れることに気づくはずです。
1日3回のうがいを毎日やっていると、口腔内の洗浄効果はもちろんなのですが、口に含んだ水を勢いよくぶつけることによって、口や舌の筋肉をより多く使うことになります。それに伴って唾液の分泌が活性化して口腔内の乾燥を防いでくれます。
唾液がしっかりと分泌されていれば、嫌な口臭の予防にも繋がるので、お口の臭いが気になる方はぜひ実践して頂きたいと思います。
毒だしうがいで-10歳の見た目に変身?
毒だしうがいは、普段の生活では使わない筋肉を動かすので、頬の筋肉に大きな刺激を与えます。
頬の筋肉が鍛えられることで、老けて見える原因となる《ほうれい線》を薄くしていく効果にも期待が持てます。つまり、実年齢より見た目年齢が-10歳も決して夢ではないということになるんです。
毒だしうがい4つの手順すべてを行っても、時間的に5分もかからないので、面倒と思わず毎日やってみることをお勧めします。
緑茶を使えばさらに効果は高まる
みなさんもご存じのとおり、緑茶には抗菌作用や消臭作用があるカテキンが多く含まれています。
水ではなく緑茶を使って《毒だしうがい》をすることで、口腔内にいる細菌やウィルスを退治してくれる上に、カテキンが持つ消臭効果で口臭もしっかりと予防することができます。
ただし、緑茶でのうがいを頻繁に行うと、茶渋で歯に色が付きやすくなります。なので、緑茶を使うのは1日1回に留めて、あとの2回を水で行うようにすると、毒だしうがいの効果をさらに倍増させることが可能となります。
うがい薬を使用することは避けるべし
うがい薬には強い消毒効果があるので、緑茶よりも効果が期待できると思うかもしれません。
しかし、口腔内には様々な細菌が常駐しており、その中には私たちの健康を守ってくれる細菌も存在しています。うがい薬は、こういった必要な菌までも殺してしまうことになるので、普段のうがいでは使用しないほうが無難だと言えます。
さらに、うがい薬には刺激の強いものが多く、口腔内の粘膜を傷つけることにも繋がります。
うがい薬の使用は、風邪をひいたときなどに限定することがお勧めです。
正しいうがいは生活習慣病の予防にもなる
前述しているように、私たちの口の中には約300種類以上の細菌が存在しています。数にして約1000億~6000億と言われている細菌の約80%が、口腔内の環境を整え健康を維持するために働いています。
これらの細菌を常在菌といい、外部から入ってくる雑菌から私たちを守ってくれているんです。
毒だしうがいは、歯の汚れを栄養源とする歯周病菌などが増えないようにして、口内細菌のバランスを保つために行うものです。
悪い菌が増えることを抑止することで、歯周病によって歯が抜け落ちるような事態を防ぐことが可能となります。しかし、毒だしうがいを行うことで期待できる効果はそれだけではありません。
実は毒だしうがいは、糖尿病や慢性腎臓病といった生活習慣病、さらには認知症の予防にも期待が持てるんです。
歯周病菌が生活習慣病を引き起こす?
歯周病菌が歯茎の傷などから血液中に入り込んでしまうと、血管の中で炎症を起こすことがあります。
炎症を起こすようなことになってしまうと、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞といった病気を引き起こしてしまう危険が高くなるんです。
さらに、歯周病になると糖尿病になりやすくなったり、慢性腎臓病といったリスクが高まるので、歯周病菌を増やさないように予防することは、健康を維持するうえで非常に重要なことだと言えるでしょう。
認知症の原因にもなってしまう歯周病菌
2009年にコロンビア大学が行った研究で『口の中の細菌、とくに歯周病菌が認知症を引き起こす原因になっている』という結果が出ています。
どういうことかと言うと、歯周病菌が毛細血管に入り込むことで、そこを通じて脳へと運ばれてしまいます。脳にまで運ばれた歯周病菌が、脳内で増殖することで悪影響を与えてしまい、認知を発症してしまうようです。
『虫歯というのは、最悪の場合、命を落とすことにもなりかねない』
あながち嘘とは言えないこの言葉、私たちは肝に銘じておく必要があると言えるでしょう。
まとめ(毒だしうがいの予防効果とやり方の手順)
多くのかたがやっている『ガラガラ、ペッ』ではなく、正しいうがいをすることで、こまめに口腔内の汚れを取り除くことができます。そうすることで、虫歯は当然のこと、歯周病の原因にもなるプラークや歯石が出来にくくなるんです。
原因をしっかりと抑制しておけば、歯周病や生活習慣病といった疾患を防ぐことができます。
毒だしうがいの理想回数は、本文中には『1日3回』と話していますが、もっと高い予防効果を求めるのであれば『食べるごと・飲むごと』に行うことで、さらなる効果に期待が持てるはずです。
日本人は、口腔内の健康維持というものにかなり無関心な方が多く、少々の虫歯などでは歯科医に行く人が少ないようです。
しかし長い目で見ると、正しいうがいで口腔内を清潔に保ち、歯科医に定期的に通ってメンテナンスをすることが、様々な病気を防ぐことに繋がります。
病気に負けない体づくりの一環として、毎日の《毒だしうがい》を実践するようにして頂きたいと思います。
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